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気候変動に立ち向かう知恵と行動

更新日:2021年8月21日


地球温暖化による気候変動は、あらゆる地域、人、生態系に大きな影響を与えています。今回は、インドのとある地域に焦点をあてて、この問題とそれに立ち向かう人々の知恵と行動を紹介します。


はじめに、インドでは近年の気候変動の激化のため、雨期ですら雨が降らず水不足になることが増えており、乾期の農業に影響を与えているということを知っていただきたいです。2009年度、2010年度の大干ばつでは、なんと5,000万トンの穀物の減収を記録したという調査結果もあります。


ここから分かるのは、気候変動を原因とする問題が1つにとどまらず、複数(水不足、農作物の生産量減少、干ばつ等)発生しているという点です。


今回取り上げる、インド最北部のラダック地方でも、同様に水不足が発生し、農地は干上がり、人々はその地域から離れざるをえなくなっていました。


その原因は、気候変動で積雪が減ったことと、氷河が後退したこと、また雪どけが早まったこと等があげられます。高地では、冬の間に積もった雪が春の農耕に必要な水源になるのですが、農業の開始時には既に雪が溶けてしまい、さらには、氷河から溶けだす水が到達するのも遅くなり、水が不足するようになってしまいました。


そんな折、一人のエンジニアが問題の解決に立ち上がり、クラウドファンディングを通じて、高さ64フィートの人工の氷河を建設しました(下図参照)。端的に言うと、「冬の間に、高く氷を積み上げておき、春夏に少しづつ溶けさせて小川に流せばよい」というアイディアです。この取り組みが画期的な点は、水くみポンプとポンプを動かす燃料さえあれば、特別な工事は不要で、どこの町村でも取り組めるという点です。

引用:雑誌ナショナルジオグラフィック日本版 2020年7月号. インド 気候変動と闘う「氷の仏塔」. 2020-06-26, https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/062200370/


この取り組みは、ナショナルジオグラフィックにも取り上げられており、ロレックス賞も受賞しています。


私は、この取り組みをはじめて知った時に感動しました。 気候変動という大きな問題に直面した時に、人々は往々にしてアイディアを中々だせません。人によっては、他人を責めるばかりの批評家になる場合もあります。


それに比べて、この取り組みは、行動力のあるエンジニアと、シンプルなアイディア、ちょっとした工夫で、課題を解決しています。つまりは、この地方は気候変動の時代であっても、生き延びる手立てを得たといえます。 大きな問題に直面しても、人の知恵により、生き残るための手立てを得られると改めて強く感じました。このような取り組みが世界中で広がることを心より望みます。


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